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山上湖への道_2黄瀬沼へ![]() 一時間ほどの薮漕ぎを抜けると突如黄瀬沼が見えてくる。 ![]() 沼のまわりはすべて高層湿原になっていて、その保護のために木道がついている。 ![]() ![]() ヒツジグサが紅葉していた。池塘をこんなまじかに木道からはずれることもなく見られるのはここぐらいのものだろう。黄瀬萢にしろ北八甲田の毛無岱にしろ木道をはずれるというルール違反を犯さないかぎりまじかで池塘を撮ることはできないと思う。かつては、田代平にしろ仙人岱にしろもっと高層湿原は大規模に残っていたのである。湿原保護のためにも登山道を整備し木道も整備しろという主張は現実に即していないと思う。なぜならアプローチのきびしいここの湿原は荒らされていないという現実があるからだ。例えば整備されている尾瀬の湿原は保護が行き届いているだろうか?そういう現実はない。歩きやすい登山路は快適にきまっているけれども、いま僕らはそういう快適さを少し我慢する時代になったという認識が必要ではないだろうか? ![]() ![]() 草紅葉が柔らかくて実に美しい。しゃがんでまじかに見るとふんわりとした淡い緑色の苔が覆っていた。柔らかさを感じたのはそのためかもしれない。 (EOS1D Mark III /EF24-105mmF4L IS) 山上湖への道_1
十和田湖も山上湖と言ってもいいかもしれない。
![]() 十和田湖(ジナーP4×5 ニッコール135mm ) 蔦六沼も山上湖に充分に値する。どれもがバラエティに富んでいて美しい。 ![]() 蔦六沼のひとつ、長沼。 ![]() 赤沼 赤沼となると、深田久弥もとりあげているが、山上湖としてのすべての条件を満たしている上に、別格の透明度と美しさから格上の湖と言っていい。横沼もアプローチが深く神秘性のある湖だ。 それでも、僕が、八甲田の格別な山上湖をあげよと言われれば、黄瀬沼をあげる。 櫛が峰、駒ガ峰、乗鞍岳という南八甲田の主峰群に囲まれた高層湿原の真っただ中に位置する。隣接する黄瀬萢は日本最大級の高層湿原で数多くの池塘が点在する。それどころか、この沼自体が巨大な池塘なのではないかと思われる。 ![]() 黄瀬萢 ![]() 黄瀬萢の木道 ![]() 黄瀬萢の巨大な池塘 アプローチの深さもこの湖の神秘性を高めている。 かなりの健脚でも4時間はかかるし、猿倉の登山道から沼へ降りてゆく道は2mをゆうに越えるネマガリタケの薮漕ぎが1時間も続く。苦労してたどり着いた分、眼前に飛び込んでくる湖の雄姿は特別なのだ。 乗鞍から下るルートならばもっと苦闘しなければならない。薮の密生度がちがう。足元すら見えないのでかがみながら、わずかなケモノ道のような痕跡をたどるしかない。誰もが早く抜け出したくなってゲンナリするだろう。赤沼から赤倉岳へのコース、櫛が峰から十和田湖へのコースと匹敵して登山道としてはある意味で日本最強のコースかもしれないね。こんな素敵なコースを整備しろという意見には僕は反対だ(笑)。もっともそれは「登山道としては」の話であって、登山ルートをほとんどたどらない僕としては、一週間も野営しながら南八甲田をゆけばかならず一度や二度はもっと絶望するような薮地獄に迷い込んでしまうのは多々あるのだからたまらない。何度経験しようとも慣れっこなどとは言えない。雪山でホワイトアウトに遭遇した時と同じぐらいにゾッとする。2m先が前後四方まったく見えないのだからホワイトアウトと状況はいっしょなのである。しかもホワイトアウトとちがって待っていても視界が良くなることはない。ネマガリタケのタケノコはクマの好物でもあるし、薮漕ぎの最中にけものの臭いがしてきた時にはクマの恐怖とも闘わなければならない。耳と鼻を最大限に効かして、ひとりで歌でもうたって、平泳ぎのようにタケをかきわけながら愉しんでとにかく前に進むしか方法はない。 人間なんてほんとに微力だと思い知るのはこういう時である。 ネマガリタケは南八甲田の最奥部では3mにも達するものもある。その太さは親指とひと差し指で輪を作ってもつかみきれない程にもなる。一時間格闘しても200mしか進めない時すらある。そんな薮をクマならけた違いのスピードでずんずん進んでゆく。まともに格闘したらクマに人間はかないっこないのだ。時々ニュースでクマを撃退したというのがあるけれど、よっぽどへたっていたクマや子グマで、でなければ誇張された話ではないかと思う。 黄瀬沼へ行くにはもうひとつの最難関のルートがある。 ![]() 黄瀬川源頭部 黄瀬川を遡行することだ。僕がこの7月に踏破したコースだ。川で野営しながら丸二日要するコース。大小24の滝やゴルジュを越えなければならない。松見の滝の上流はクマの営巣地でもある。現実に滝の上下で僕とクマは接近遭遇した。去年死体を発見したのもこのあたりだ。直登できない滝を巻いてゆく時、滑落寸前まで行ったり、滝壺に落下したりもしたコースでとても人にはすすめられないが(笑)、覚悟があるならこれほどワクワクするコースはない。 黄瀬沼へ続く。 赤沼の夏![]() 赤沼は、全国で3番目、本州で一番の透明度を有する火山湖です。1位2位は、カルデラ湖(摩周湖ほか)で、カルデラ湖以外ではけた違いの透明度です。赤沼という名前は、赤倉岳の麓にあるのでついた名前ですね。山で、倉というのは崖のこと。赤倉岳(南部赤倉岳)には、赤い岩の(おそらく)八甲田最大の断崖があります。 ***透明度 : 湖や海の水の透明さを表す値で、直径30cmの白色円盤を水中に沈めて、見えなくなる深さ(m)で表す。ここは、18.2mです。例えば、五色沼9.50、猪苗代湖8,0などで、10mあると相当にきれいなところですね。(だけど、ここの最大深度は17.8mになっているんですよね。透明度18.2mということは、底まで見えていてそれ以上計りようがないのでおおよその概算で18.2mにしたということでしょうか?) きれいな水は赤い光をよく吸収し,青い光をよく散乱する。植物プランクトンや濁り粒子が増加すると青い光が吸収されるようになり,水色は青緑から緑,黄褐色へと変わってゆく。この沼の色は神秘的と言ってもいい。 ![]() ルリイトトンボが群遊しています。ルリイトトンボは、ほかの高原の沼や湿地帯でもみかけますが、単発で飛んでいる程度。群れをなして湖面を飛んでいる姿を見ることができるのは日本中さがしてもここだけではないでしょうか? ![]() この沼は、酸性で魚などは生息していないといわれていますが、アカハラ(イモリ類)をみつけました。夜ひとりで満天の星空を眺めていると、湖面をバタバタしていた蛾を突然バクッとくわえた生き物がいたのです。ストロボを持っていなかったので、ヘッドライトを左手に持ち右片手カメラで撮りました。ひるがえって逃げる時に腹が赤かったのでアカハラだとわかった。 ISO1600 1/15秒 F4(解放) EOS5D /EF17-40mmF4L ![]() |