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クマと絶壁の沢![]() この滝の上、右岸からクマは現れて左岸に消えた。僕は滝に一番近い岩に座っていた。 クマと言ってもツキノワだから1mくらいだろうとタカをくくっていた僕は、その大きさに衝撃を受けた。 悠々と滝上の淵を渡るそのクマの、この森の王者にふさわしい威厳のある厳しい表情まで見えて、感動すら覚えた。 僕は滝を突破するためにカメラを防水パッキングして厳重にザックにしまってあったのだ。とてもとりだして撮影するチャンスすらなかったのだ。う〜、、。でもあまりに近くて、たとえとりだしていたとしてもカメラを構えるチャンスがあっただろうか?一瞬もクマから眼を離すことができなかったかもしれないね。 ![]() ![]() この川の上流部はえんえんと源頭部まで、両岸とも絶壁の峡谷が続いていた。沢登り自体はそれほどむずかしくはないけれど、直登不可で高巻きになればかなり危険が待っているという川だと思う。この滝の上流部ではいくつものクマの足あとと糞と、それからネマガリタケの笹薮が乱暴に切り裂かれたけものみちに出会った。沢の岩には他にもテンなどのけものの糞らしいものをいくつも見かけた。けものの天国ですね、きっとこのあたりは。ほとんど人が入りませんから。この沢の大滝を越えた後、2時間くらいの遡行まではまだ人跡らしきものが岩の苔のはがれ具合などで確認できましたけど、この滝以降はほとんど形跡がなくなっていました。 あのクマの出現は、ここからはおれらの国だぞという警告だったんでしょうかねえ?。 断崖を高巻くの愚
クマを恐れて、ルートとしては明らかに厳しいかに見えた右岸に回ったこと、これは判断ミスでしたね。(でも想像以上にデカかったからなあ!判断も狂うベサ)
迂回した右岸は険しくなかなか尾根に届かない。ますます険しくなりそうなのでトラバースすることにした。ところがよけいに斜度がきつくなった。戻るにも戻れない崖まで来てしまった。それでも低木が生えているしネマガリタケもある。なんとか渡れるだろうと思った。 それでやってしまったってわけです。引き返すことも2度考えたんですけどね。クマが^^、、、。 40mはあろうかという絶壁で、片手一本でぶら下がった時は、さすがに生きた心地がしなかった。転落を想像して全身がカーッと熱くなった。 足を踏み外した衝撃で肩を痛めたけれど、ふりしぼって両手で掴み直し踏みとどまった。握力と気力はまだあったんですね。絶対おちないぞ!って思ってましたから。 足を踏み外したというか、固く締まった土の上に濡れていてまったくツルツルだったのです。つま先分の窪地に足をのっけたと思ったらそのままズルッといったのです。それでぶらさがってしまった(靴が沢歩き用のフェルト仕様なのでよけいに滑った)。 気合い入りましたね、この時は。ここ30年で最高の集中力だったかな(苦笑)。 それで3点支持は無理だから、腕二本だけで、その壁を、木の枝やネマガリタケ数本を掴みながら、死ぬほど慎重に、確保を確かめながら、おそるおそるトラバースしたのです。7mくらい進んでどうやら最難関のところを越えた。それでも斜度70度くらいから60度くらいに変わっただけの話だったのですが、それでも足場もとれて一息つくことができたのです。 この数分間、ほんと一生分の冷や汗のほとんど出尽くしたんじゃないの(笑)もう当分何があっても出ないよ^^; それから慎重にトラバースを終えて下降に移った。下りはネマガリタケを使った懸垂下降そのものだ。壁に向かって立ち、ネマガリタケを数本束ねて掴む。足場を確保したら、もう一方の手で次のネマガリタケを掴む、といった具合だ。そうやって30mくらい下った。 ところが、最後に油断してしまった。 足場確保が中途半端のまま、次のネマガリタケを掴もうとして、足をはずしてぐらつき、掴み損ねた! あ〜、、、ずるずる〜ドッス〜ン 5mくらい落下。幸い浅い水場に落ちて、少しケツが痛かっただけ。 あ〜〜あ!! 長いため息をついて僕は笑い出した。なんだか可笑しくて笑いが止まらなかった。ハッハッハ、、、、、、、南八甲田の深奥の沢に未熟者の笑い声がこだまする! 現地から5
撮影打ち上げました。夏旅終了です。
近日中に帰京します。実り多い旅でした。 リポートはまた後ほどに。サポートしてくれた多く皆さんありがとう。 現地から4の2
続き、だが、
早朝テント場をでて川を溯行しながら2時間ほど上ったところで、4mほどの滝にさしかかった。 滝を登れるだろうか?高巻きが必要だろうか?と考えていた時だ。滝の上の右岸の笹がザワザワとうごめく。やがて黒い物体が現われた。 最初は人かなと思った。だけどこんな奥深く早朝にしかも上流から人など来るはずもないのだ。あっと息を飲んだ。 それは大きな熊だった! 滝の上と下、熊と僕との距離はわずか10m。最初はカメラを出そうかと考えた。だがカメラはザックの中だ。滝の上をずっと注視し続けた。 「すごい、大きい!」奴は、何もなかったかのように川を渡って左岸へ消えて行った。 強烈なけものの臭いがただよってきて、現実感がきてその時になって急にゾッとした。 130cmくらいはあっただろうか?立ち上がったら180cmはあっただろう。 ふーっと一息ついて僕は川の岩に腰を降ろした。近くを立ち去るまで少し時間を置かないと。まづいのは奴が僕が高巻こうと思っていた左岸に行ったことだ。 そして、僕は右岸へ回避する決断をした。 そして、この決断こそ絶体絶命の危機を招いたのだ。 右岸は、どこまで登っても断崖絶壁だったのだ。 (あぁ、書いていても冷や汗が、、、、。続) 現地から4
今回の最難関ルートにとりかかって、ベースキャンプを立てたのは車止めから6時間歩いたところ。
テントを張って、焚き火を起こして、目の前の川原で、竿を出して立て続けに2本の岩魚を釣り上げて、なんとも気持ちのいい1日目を終えたのだ。 ところが2日目に、僕の山行史上最大の危機が待っていたのだ。 あぁ、思い出せば今でも冷や汗が出る! 続。(ひっぱるつもりはさらさらないけど、今、一夜明けても疲労がずっしり残ってる状態なので、以下続) とりあえず今は乾杯したい気分なので朝からビール飲んでます。(笑)実は、この川の主のような人、林道の管理人さんから、「よぐけぇってきたな、わもそごまでは行ったごどねぇな。ビールっこ飲むが?マタタビ酒もあるしけ」と振る舞ってもらってるのです。 現地から3
曲者「やませ」(太平洋からの冷たい偏東風)にやや苦戦気味です。
北八甲田は晴れているし十和田市街も晴れ間が見えるのに、ここ南八甲田だけがすっぽり厚い雲に覆われている。 毎晩シトシトとテント場に冷たい雨が降る。困るのは、干した靴下が乾かないこと。連泊するとほんとに困る。歩く時は濡れてたって構いはしないが寝るときはまずい。夜は5度cくらいになりますからね。(やませが吹くと7、8度寒くなったりします。十和田の実家ではいまだにストーブをたいていました。)あと、焚き火に苦労するのと、岩魚があまり出て来ないこと。 だけど、南八甲田の自然の特殊性を再認識したような気がしますね。こうやって、夏も静かに水を呼び込んでいるのですね。 実は、南八甲田は北八甲田とは形成過程からもちがうのです。火山活動が何十万年も早く終わったのは南八甲田の方なのです。そのせいで北にはない多くの貴重な植生が見られます。 それはともあれ、物事はなかなか思い通りにはいきませんね。撮影計画は変更に次ぐ変更です。 でも、 思い通りには行かないけれど、いや!だからこそ、思いがけない写真が撮れています。面白いですね、これも。 現地から2
雨続きで少しうんざりです。
大雨でもないし風もないので野営も撮影も続けているのですが、いろいろとケアが大変なのです。 濡れると困るものがいっぱいありますからね、撮影行には。カメラにはレインカバーをつけているのだけれど、それでもモニターチェックしたりPLフィルターを操作している間にどうしても濡れてしまう。5Dは特に防摘じゃないので気をつかいます。 あと、足だけはどうしても濡れてしまう。長靴ってわけにはいきませんからね、沢登りには。靴下は毎晩焚き火で干しているんですけど、そのせいで燻製のような色と香りが付いてしまいました(苦笑)。 景色はすごいです。何日も降り続いているのにまったく濁らない源流の水!改めてブナの森の浄化能力の高さを再認識しています。なんとかそのイメージを撮れないものか。降り続く雨だからこその写真があるはずなわけで、それを明日もまた探し歩いてみるべえさ。 今週は、白いカモシカを見た。蔦の小笠原さんに言ったら「そりゃ神様だな、なんかいいごどねがな、(笑)」と奥さんと一緒に笑ってました。アカシヨービンも飛んでいた。撮れなかったけれど見ただけで幸せな気分になれる。 |