
2012.8.30 南八甲田原生林/満月の夜
きのうの満月の夜の撮影は×だった。かなり深い原生林を、半闇の月光下で5時間以上歩き回って、結局迷って、目的地へ着けなかったのだ。5人のチーム行動だった。断崖の撮影のためのザイルサポートメンバー4人のメンバーにはほんとに申し訳ないことをした。
暗闇の原生林で、一旦退却を決意して帰路に着いたのだが、その道すらわからなくなって2時間近くさまよった。
ようやく林道口へ辿り着いた。休憩し夜食をとった。石沢さん夫妻二人が用意してくれた発芽玄米のおにぎりは美味しかった。夜中の小さな沢沿いで沸かしたコーヒーも美味かった。
休憩しているうちに北山さんが、もう一度トライしてみようと言う。ヘッドライトを木に付けてゆきそれが視認できる範囲内に次のライトを取り付けながら進んでみようと言う提案だった。若い頃はモンブランにも行ったという北山さん。日本の山の経験も深い。チーム行動など無縁の僕には思いもつかないアイデアだし、なによりもサポートメンバーがまだへこたれてないこと、行こうと後押ししてくれたことに勇気づけられた。
よし行こうとすぐに決断した。
もうひとりの佐々木さんもかなりの山好きで経験豊富。テキパキとライトのセッティングをしてくれた。石沢さん夫妻も健脚で、秀子さんなどは最初から、2.3時間歩いたって楽しんで行けばいいのよ、と言っていた頼もしい人。
それで再開しまた1時間ほど模索したが、結局はルートを探せず断念。おそらく最後に残ったルートが当たりだったと推測したけれど、時間も疲労度も限界近かったので、無理をせず撤退を決断した。
ジャングルの密林以上の南八甲の薮地獄行をみんなに強いてしまった。ウバユリは2mを超えていた。ネマガリタケは直径2cmを超えるものがあった。林道すら足元も見えない。薮漕ぎは文字通り地獄。暗闇の沢歩きもあった。ほんとにすまない。ひとり僕の力不足。
だけどみんな「月光ウォーク楽しかったよ。こんな経験めったにないし」と言ってくれてたのがせめてもの救い。
僕の半闇の原生林での収穫は三つ。 6時間歩いても平気だったこと。去年暮れに倒れてから体力は少しづつ回復しつつあること。それを確認した。
気になるのがひとつ。後続のメンバーに聞いたのだが、僕は、左-左に常に偏向して登っていたらしい。今回ずっと左によれて道を間違えた。最後に残ったおそらく当たりのコースは、一番右の尾根筋だった。三半規管が狂ってるいるのかもしれない。
最後の確認は、そろそろ単独行にとりかからねばならないということ。今回ももし一人ならばそのまま野営して明るくなるのを待ってまた歩き始めただろう。チーム行動ならそうは行かない。黙ってひとりで入山したなら誰も心配する人はいない。今回のようにもし4人が下山して僕一人が残ったとしたなら4人は下界で気をもむだろう。そう思う自分の心の片隅のものが僕の行動に規制をかける。自由さを無くす。そんな気がするからやめた。やはりソロでなければならない、そんな思いを強くした。(それでも4人のサポートメンバーは強力。チームを組まなければならない時がくればまた声をかけるさ)
かけがえのない自然はすぐそこにある。南八甲田、六ヶ所核燃施設から50km。
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