写真家の山暮らし

Photos of Japan north country and the Photographer’s Journal 南八甲田の麓、奥入瀬川のほとりの山のスタジオからNature Photoを添えて日誌を綴っています。2012.3.11に恵比寿のスタジオをこちらへ移転しました。

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最悪の夜も朝が明ける

 迂回して高巻きするしかないゴルジュにぶち当たったのは、午後3時ころだった。テン場の準備に入るかまだ歩くかギリギリの時間帯だった。4mほどのゴルジュの岩壁の右側の斜面に眼をやり、どれぐらいでいけるのか目測してみた。斜度はたいしたことない。根付きのよさそうな低木も程々にある。越えるまで10mくらいだから問題ないだろうと判断した。時間もあまりないから一度下がってから簡単な斜面を巻くという手間はかけたくないと思った。

 今考えればそこに判断ミスがあったのだ。

 少しゆるい土の斜面の足場を確認し、手を伸ばしてネマガリタケを手繰り寄せ3本くらいつかむ。その状態で足で身体を押し上げてもう一方の手で何かをつかもうとするが今度は何もない。しょうがないので土そのものに指をめりこませて、また足をけりあげて身体を上げる。3本のネマガリタケの支持があれば大丈夫だろうと気にしないで2点支持で登った。実際このあたりの豪雪に鍛えられたネマガリタケはしっかり根を張っていて強いのだ。そうやって8mくらい登っただろうか?ところがそこからが頼みの綱のネマガリタケがなくなったのだ。まいったなあ、と思って下を見た。上から見たらかなりの斜度だ。もう戻れないな。もどるのは危険だ。崖は下る方が倍以上危険なのだ。バランスがむずかしいし先も見えにくい。登って来たおかげで足場も悪くなっている。ふーっとため息をついて登るしかないなと自分にダメを押す。ネマガリタケではないただの草を手繰り寄せる。葉っぱをつかみ破らないようにして根っこまでつかみ、足場を20cmくらい上げてぐりぐり靴を土の中にめりこませる。そうやっておそろしく慎重にのろのろと登ってゆく。崖のてっぺんからハイマツが伸びている。手を伸ばしてようやく葉っぱを手繰り寄せ、枝を手繰り寄せ、太いところまでつかんだ。ゆらして強度を確かめる。大丈夫だ。そうして両手でつかんだら足場が抜けた。だーっと土なだれ。懸垂で必死に這い上がって行く。

 やったと思った。ところが這い上がる途中でいやなものをみてしまったのだ。

 崖のてっぺんと思ったそこはただのせり出し部でしかなかったのだ。ウー...。上を見たらうっそうとした薮の崖だ。ウッソー!なんて言ってもまるで笑えない。ようやくオレは後悔した。クソッタレ!未熟者の自分を棚に上げてうなり散らす。怒りが崖に向けられているものでないことは、もちろんオレも山の神も知っている。嫌気がさしたのは自分自身だ。ざっと見上げるだけで上りは途方もない労力だとわかる。下りは選択余地がない。転落がありえるからだ。へとへとになっても登るしかないんだなと最終審判(笑。ほんとに現場で薄ら笑い!)を下していた。
 それから、いも虫のようにネマガリタケの斜面をひたすら登った。タケは下に向かって伸びている。槍ぶすまのようにこっちにむかっている薮を払いのけながら行くのはただではない。1時間も登るとハイマツが半分くらいになってきた。斜度も半分くらいになった。ところがよけいに進めなくなった。地に這っているハイマツの形状で人っこひとりなかなか通り抜けれないのだ。ましてやバッグを背負ってるからやっかいだ。2時間以上格闘していただろうか?すっかり暗くなっていた。

 もうムリだ。暗くなったし、体力も限界。それで覚悟を決めたのだ。ネをあげてここで寝るべえ、と。
 
 低木を股にはさんでロープで身体を木にくくりつけて落ちないようにしてうすらうすらと夜明けを待った。大雨がきたら死ぬかなとうすら笑いながらおそろしい夜だった。カロリーメイトとカワハギとウイスキーをあおって、30分ごとに眼を覚ましながら明るくなるのをひたすら待った。はさんだ木で股がいたくなってずらしながら寝た最悪にしてスーパーな夜!そんなのも気持ちの持ちようさ。ごきげんとも言えるべ、とか思いながら負けず嫌いがせりあがってくる。夏には3時には薄明るくなりはじめる。天候さえくずれなければ何事もなく朝がくるさ。ふん。大昔、メットを被りパイプを抱きしめて砦でぎゅーぎゅー詰めで敵の襲撃を怖れながら寝ていた時よりはマシだ(ほんとか?)とか気慰めに思ったり。

 ごきげんな一夜を過ごして、薄明かりのうちにまた登った。ところがそこからはあっさりだったのだ。30分くらいで登りきった。見渡すかぎりダケカンバとブナの美しい混交林が待っていた。

 そんな経験を積んでオレも多少は学習した。何を学習したか?サバイバルに体力を消耗すると本業の撮影のエネルギーを減らしてしまうという単純なこと。で、それからは少しスタイルを変えた。使える装備や機材は利用する。やることの順番をもっとはっきりさせる。撮影第一。撮影地までスムーズにたどり着くことが第一だと思い直した。

 それでもそんなに単純じゃないのさ。山では計画どおりはありえない。あくまで一般論の話。つねに具体的戦術だけが必要なんだ。

 つらい日もある。でもやがて夜は明ける。ほんとにそんな一日でした。
2006.07.13[Thu] Post 11:58  コメント:0  TB:0  八甲田山歩きの旅  Top▲

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