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ひとりひとりのエコロジー
P川の自然はかなり回復しているように感じます。
ある意味でここ50年くらいでもっともいい状態なのかもしれません。P川源流部には鉱山の跡が見られますが、今は南八甲田は鉱山の開発が全域禁止されています。鉱山だけでなく温泉や宿泊施設なども南八甲田ではきびしく制限されています。P川の林道も一般車通行も禁止されて20年ちかくになります。こうした努力がようやく実ってきたかなと思います。マムシとかヒメネズミとかテンとか容易に出会えるようになりました。それに今回僕が幸運にも出会ったクマは、かなり大きかった。P川源流域へのアプローチは4時間以上かかりますから、この地域はサンクチュアリになっているのではないでしょうか。 この事実は、自然保護に重要な示唆を与えているようです。いまだに南八甲田の登山道を整備しろとか林道を一般開放しろという人たちがいますが、整備し解放したら自然破壊は目に見えています。 僕は今回、P川のベースキャンプから撤収する途中のブナ林のなかで野営跡を見つけました。釣り人だと思われます。釣りの仕掛けのゴミがありましたから。缶詰と酒瓶とたき火の跡が残されていました。せっかくこんな奥まで入ってきたのにいけませんね、この醜態は。僕は酒瓶は岩でこなごなに砕いて埋めてきました。缶はしょうがないので回収してきました。たき火の跡も土で埋めてきました。この釣り人たちは重大な犯罪を犯しているということを知ってほしい。まず森の中でたき火はやるべきではありません。(やるなら川原で)。缶詰と酒瓶を山に残してくるなんて、けものに人間の味を教えるようなものです。今春秋田では実際に山菜採りの人がクマに襲われ死亡するという事件がおきました。クマは人の持っていた食料を食い散らかして逃げたそうです。クマを、人間にとって危険な存在に追い立てているのは人間の行為なのです。 釣りとは山の恵みものをおすそわけしてもらうもの。それなのに自然を荒らしてどうするのか。僕は釣りは自然とふれあうことができる大事な遊びでもあると思ってます。釣りを通してきれいな水の大切さを人に教えてくれるものでもあると思う。僕自身も釣りをやるけれど、こういうルールを守らない釣り人が増えているようで悲しくなりますね。林道を解放したらこういう人たちがいっぱい入ってきて破壊が進むのは明らかです。それは登山者や山菜採りにも言えることです。残置ハーケンやザイルを見つけると同じく悲しくなりますね。その方が後から登ってきた人のためになるという考えはあまりにも登山者の立場だけの身勝手な考えではありませんか?今後多くの釣り人や登山者や写真家たち、ひとりひとりが高いエコロジー意識を持つようになりたいものです。僕自身への戒めも込めて。実際野営跡をきちんとかたづけるというのはめんどくさいものです。高いエコ意識がないかぎりできないかもしれません。ゴミを出さないという意識も同じです。山に入ればいっぱいゴミが出ます。それはみんな経験すればわかっていることです。でもたいがいはいいかげんに済ましてしまう。野口腱さんが清掃登山を始めたのは懺悔意識からでしょう。みなでそういう意識を共有しなければいけないと思う。荷物がひとつふえるけれど、山に入る時はゴミ回収の袋を持っていくことをおすすめします。釣りの時は、フィルムのケースが一個あれば便利です。テグスやおもりや目印などのゴミを回収するのに便利です。 南八甲田の希有な自然とは、ただほっといて残ったわけではないのです。多くの幸運と先人達の努力のおかげです。この山に入ればそこかしこで清冽な水がわき出していて誰もがうまい水を口にすることができる。今では地球環境の悪化できれいな淡水がどんどん失われている。淡水の楽園、こういうのは世界中でほとんどなくなりつつあるのです。世界各地では泥水を濾過して飲んでいる。それが現実です。地球温暖化の今の進行を見れば今後ますますそういう現実が進むでしょう。ヨーロッパの氷河は半減しヒマラヤの氷河すらどんどん融けているそうです。泥水しか流れない川、それどころか干上がった川が各国で続出しているそうです。上海や北京では水道水が臭くて飲めなくてミネラルウォーターがとぶように売れているそうです。そういう現実がどんどん明らかにされていく度に僕は白神や南八甲田を筆頭とした東北のブナの原生林というのはほんとうに貴重な地球の財産なのだと思います。それも保護意識を高めて対策を講じなければどんどん失われていく財産なのです。 ![]() 八甲田北線で死んでいたウサギ。車にはねられたのだろう。 TRACKBACK
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2007.09.29[Sat] 発信元:ジグソーパズルを攻める ▲ |