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異様なブナ林
7〜8年に一回の周期でのブナシャチホコの食害で、今年は八甲田の一部のブナ林の葉が枯れてしまったのだけれど、これほどの規模での被害というのは僕は見たことがない。単なる周期的なもの以上に異変が起こっているような気がして心配だ。
![]() 蔦のあたりではまだ被害は見られない。標高を上げて登って行くと、突如として異様な光景が眼に入ってくる。 ブナ林がまだえんえんと続いているはずなのに前方がいやに明るくなっている。ブナではなくてまるで白樺の林のようだ。 ![]() 食害の境界線はかなりはっきりしている。下写真の右半分から枯れ始めて明るくなっている。 ![]() 被害の最中へ行って空を見上げるとまったくの冬枯れ状態であった。 ![]() その一帯を過ぎると被害はそれほどでもなくなるんですよね。 ![]() モグラが訴える自然破壊![]() 最近は、八甲田に出かけると必ずと言っていいほど動物の死体を見つけるようになった。 車による轢死が多い。ここ数年の八甲田における交通量の増加ははんぱではないのだ。僕は10年くらい前から言っているが、もう真剣に車乗り入れ規制を考えないといけないだろう。奥入瀬渓流ではそのことが計画されているようだが、もっと全区間にわたって規制する必要があるのではないだろうか?もちろん僕も不便になるが、覚悟すべきことだと思う。快適さを少しづつけづり不便を受け入れることこそ最大の根本的な環境対策なのではないかと思い始めている。 それにしても、モグラはこんな大きさが普通だよね。夏に赤沼で撮影したモグラのような生き物はゆうに20〜30cmはあったなあ。種類がちがうのか、それとも巨大化したのか? 岩魚の渓を残したい![]() ![]() ![]() 岩魚は、川面に影がゆれるとさっと走って岩影に潜ってしまいます。それから岩魚の正面に立っても逃げてしまいます。岩魚は眼がいいんですね。魚眼というくらいですから180度くらい見渡せるようです。音にはたいして敏感ではありませんが。それにしてもここの岩魚はあまり警戒心が強くないようです。何度かサッと走られましたが、5分くらいじっとしているとまた現れましたから。 キャンプの終わり際に僕は十和田の友人Mくんと合流して、U川の中流域を釣り上がってみました。さっぱりダメでした。二人で流して僕が20cmくらいのをひとつ上げただけ。釣り人の足あとだけはいっぱいありました。川の資源量を越えて釣り人が入っているにちがいないと思います。中流域では相当減ったのだと思います。数だけ釣り上げるという釣りはもうそろそろ見直しませんか?持続可能な岩魚と釣りの文化を残すためにも。 ひとりひとりのエコロジー
P川の自然はかなり回復しているように感じます。
ある意味でここ50年くらいでもっともいい状態なのかもしれません。P川源流部には鉱山の跡が見られますが、今は南八甲田は鉱山の開発が全域禁止されています。鉱山だけでなく温泉や宿泊施設なども南八甲田ではきびしく制限されています。P川の林道も一般車通行も禁止されて20年ちかくになります。こうした努力がようやく実ってきたかなと思います。マムシとかヒメネズミとかテンとか容易に出会えるようになりました。それに今回僕が幸運にも出会ったクマは、かなり大きかった。P川源流域へのアプローチは4時間以上かかりますから、この地域はサンクチュアリになっているのではないでしょうか。 この事実は、自然保護に重要な示唆を与えているようです。いまだに南八甲田の登山道を整備しろとか林道を一般開放しろという人たちがいますが、整備し解放したら自然破壊は目に見えています。 僕は今回、P川のベースキャンプから撤収する途中のブナ林のなかで野営跡を見つけました。釣り人だと思われます。釣りの仕掛けのゴミがありましたから。缶詰と酒瓶とたき火の跡が残されていました。せっかくこんな奥まで入ってきたのにいけませんね、この醜態は。僕は酒瓶は岩でこなごなに砕いて埋めてきました。缶はしょうがないので回収してきました。たき火の跡も土で埋めてきました。この釣り人たちは重大な犯罪を犯しているということを知ってほしい。まず森の中でたき火はやるべきではありません。(やるなら川原で)。缶詰と酒瓶を山に残してくるなんて、けものに人間の味を教えるようなものです。今春秋田では実際に山菜採りの人がクマに襲われ死亡するという事件がおきました。クマは人の持っていた食料を食い散らかして逃げたそうです。クマを、人間にとって危険な存在に追い立てているのは人間の行為なのです。 釣りとは山の恵みものをおすそわけしてもらうもの。それなのに自然を荒らしてどうするのか。僕は釣りは自然とふれあうことができる大事な遊びでもあると思ってます。釣りを通してきれいな水の大切さを人に教えてくれるものでもあると思う。僕自身も釣りをやるけれど、こういうルールを守らない釣り人が増えているようで悲しくなりますね。林道を解放したらこういう人たちがいっぱい入ってきて破壊が進むのは明らかです。それは登山者や山菜採りにも言えることです。残置ハーケンやザイルを見つけると同じく悲しくなりますね。その方が後から登ってきた人のためになるという考えはあまりにも登山者の立場だけの身勝手な考えではありませんか?今後多くの釣り人や登山者や写真家たち、ひとりひとりが高いエコロジー意識を持つようになりたいものです。僕自身への戒めも込めて。実際野営跡をきちんとかたづけるというのはめんどくさいものです。高いエコ意識がないかぎりできないかもしれません。ゴミを出さないという意識も同じです。山に入ればいっぱいゴミが出ます。それはみんな経験すればわかっていることです。でもたいがいはいいかげんに済ましてしまう。野口腱さんが清掃登山を始めたのは懺悔意識からでしょう。みなでそういう意識を共有しなければいけないと思う。荷物がひとつふえるけれど、山に入る時はゴミ回収の袋を持っていくことをおすすめします。釣りの時は、フィルムのケースが一個あれば便利です。テグスやおもりや目印などのゴミを回収するのに便利です。 南八甲田の希有な自然とは、ただほっといて残ったわけではないのです。多くの幸運と先人達の努力のおかげです。この山に入ればそこかしこで清冽な水がわき出していて誰もがうまい水を口にすることができる。今では地球環境の悪化できれいな淡水がどんどん失われている。淡水の楽園、こういうのは世界中でほとんどなくなりつつあるのです。世界各地では泥水を濾過して飲んでいる。それが現実です。地球温暖化の今の進行を見れば今後ますますそういう現実が進むでしょう。ヨーロッパの氷河は半減しヒマラヤの氷河すらどんどん融けているそうです。泥水しか流れない川、それどころか干上がった川が各国で続出しているそうです。上海や北京では水道水が臭くて飲めなくてミネラルウォーターがとぶように売れているそうです。そういう現実がどんどん明らかにされていく度に僕は白神や南八甲田を筆頭とした東北のブナの原生林というのはほんとうに貴重な地球の財産なのだと思います。それも保護意識を高めて対策を講じなければどんどん失われていく財産なのです。 ![]() 八甲田北線で死んでいたウサギ。車にはねられたのだろう。 異常気象の脅威!これはなんだ?![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ぞっとするような光景に出会ったのは、十和田湖の宇樽部から瞰湖台に向かう旧道だった。 周囲2.3百m近くにわたって、軒並み大木が打ち倒されていた。 いったいこれはなんだ?竜巻?ダウンバースト?まるで見た事もない光景だった。そういえば雪崩の後はこれに近い感じだった。ここは雪崩があるような斜面ではない。ということは、雪崩と同じような何百トンものエネルギーの風が吹いたということだろうか?恐ろしいですね。テントなんか張っていたら宙に舞ってましたね(ゾーッ!) 2年前にも南八甲田の猿倉の方でこういう現象が確認されています。それはダウンバースト=「局地的・短時間に上空から吹く極端に強い下降気流」(wikipedia)と当時は予測されたのですが、 こんな狭い範囲でこんな極端な風がふくもんでしょうか? それにしてもここ50年くらいはこんな現象は見た事も聞いたこともありません。やっぱり気候はおかしくなってますね。嵐や異常気象が激しくなっているような気がします。去年秋の集中豪雨もそうでした。八甲田観測史上最大の集中豪雨だったのです。こうなると地域の自然保護だけ訴えてもどうにもならないですね。 |