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滝を登る その三![]() この滝は、右側からやや迂回ぎみに登った。たいしたことはない。源流遡行の一番のキモは、正しいルートを見つけることである。 ![]() この滝のポイントは、手前の淵だった。雨が続いたおかげで増水していていつもより深い。両岸も絶壁でへつって壁沿いに渡るのも難しい。 一瞬躊躇した。ひとりなら泳いででも渡っただろうけど、ドシロートの息子がついている。泳ぐのはたやすい。 問題は全身濡らした後の遡行である。水を含んで衣服もザックも重くなるし、気温も15℃くらいしかなかったので冷え込みも気になった。 迷ったけど、渡ろうと決めたのである。 ここで撤退したら、下りは川だということを考慮した。川下りは、登りよりもずっと危険なのである。下りは森に抜けて降りた方がいい。それが決め手になった。 決めたら行け行けドンドンだ。 「大丈夫だ。行け!」と。高校一年生も怖いもの知らずのようで浅いところを探しながら渡ってゆく。ところが見ためより浅くてせいぜい腰の上ぐらいまでで渡り切ったのである。はっはっ、残念(笑)。どうせなら泳ぐ渡渉も経験させたかったけれど^^; ![]() ![]() そして最後の滝。これは直登は難しい。源流もほぼ源頭に近いのでここで高巻き、遡行終了とした。 川を上がって、あとは、100mほど下から右側の崖を登った。 崖は50mくらいかな? これは苦労した。崖の最後に猛烈なネマガリタケの密集地帯があったのだ。クマザサしか知らない関東や関西の人にネマガリタケの笹薮の怖さはきっと想像できない。太さは若い青竹ほどにもなる。高さは3mにもなる。ハイマツやヤナギ類も混じってくる。四方まったく視界の効かないところを10分も進むとだれでも不安にとらわれる。それが1時間すすんでも突破できないとなるとベテランでもパニックになる。それが南八甲田の山である。それでもここはまだいい方だ。黄瀬川上流の両岸の高巻きはまちがいなく日本一の厳しさ。しかもクマの営巣地としてもかなり濃いから半端ではない。シロートを連れていくところではない。だからそれは避けたわけだ。 一時間ほど薮地獄と格闘してようやく抜けた。 汗だくになって抜けたところにブナ林が広がっていた。 淡い緑の視界が広がり薄明かりの中をひんやりとした爽風が抜けてゆく。地獄から天国へ抜けたようだった。 ![]() 苔むす滝の水しぶき![]() EOS1DMark III EF17-40mmf4L ISO200 1/6秒 f11 2008.8.26 ここの苔はなぜこんなに青みが強くしかも濃いのかわからない。他の南八甲田の滝と比べても特別である。 滝の水しぶきが美しく映えるのは、濃い苔のおかげでもあるようです。 (僕のディスプレイ環境-ナナオCG222WとFlexScan L797のデュアルディスプレイでは、L797の方ではこの色のちがいがあまりわからない。 もちろんどちらもキャリブレーターをつかって色調整している。 この青から緑への色域は、(L797の)sRGBカラー域では出てこないということだ。=AdobeRGBカラー域のディスプレイが必要ということ。 CMYKの印刷ではこの違いは出ないと解説する方がいるけれど、それはまちがいです。しっかりした印刷屋なら出てきます。 パソコンのプリンターでもそうです。僕が使用している顔料プリンターPixus Pro9500(10色)でもしっかり出てきます。 デジタル時代の機材では、デジカメと同じくらいにひょっとするとそれ以上に、ディスプレイとプリンターが重要だということですね。) 南八甲田滝登り![]() 帰京。さんざんの天気でした。一週間ずっと、えんえんと冷たい雨。雨をぬって行動できたのは2日だけであった。 思い起こすとカレンダー撮了までの一年間は実に天候に恵まれたなあと思う。 高一の息子が同行。百mにもおよぶこの小連瀑帯を登って、4つの滝を越えて源流まで踏破しました。 最後までよくついてきたと思う。もっともお助けヒモ(一mのシュリンゲ)で何度か引き上げたけれども。それは仕方がない。ベテラン登山家であってもそれなしではひとりでこのコースは踏破できないと思う。身長も体力も16歳にしてとっくに僕を越えているが、滝の直登などは特別の筋肉と技術が必要だからだ。 この連瀑帯登りはまるでパズルを解くように楽しい。ざっと見上げて、どのコースをたどるのか4.5手先まで読んで登ってゆく。踏破できない大岩や淵にあたったりするとやり直すわけだ。滝登りは基本的に4本手足のうちの3点支持で、常に一歩一足づつしか進めない。着実に進むしかないわけだ。ショートカットや一足飛びはありえないのだ。それがきっとおもしろい。浅瀬歩きは逆に一歩一歩着実がいいとは限らない。そればっかりだとかえって疲れるし、時間もかさむ。スピードを殺さずにスタスタと小岩を渡り歩く技術があるとけたちがいに速くて疲れないのだ。薮漕ぎはどうか?これはもうひたすら忍耐しかないかな?源流遡行はこのように三つの脳と 体力を発揮することが必要なのだ。東京でゲームにばかり熱中している息子に「どう?」と聞いたら「うん、おもしろい」と言っていた。薮漕ぎはさすがにこたえたらしくときおり悲鳴をあげていた。雨中の薮漕ぎは、レインウエアが暑いしサウナ風呂のような中を2mから3mにもなるネマガリタケをかき分けかき分け進むしかないのだから誰でもこたえるさ。ゲームみたいにリセットなんてできない。突き抜けるしかないのだ。それを経験させてやろうと親はもくろんだけどさすがの親も少しこたえたなあ(苦笑)。ブナ林に抜けた時は上下汗びっしょりのビショビショで雨中で湯気が立ち上っていた。 ![]() 滝の側面ほぼ90度の壁を登った。 ![]() 心残りなこと![]() この写真は、 八甲田最大の「松見の滝」を見下ろす190mの断崖から撮ったものです。 この場所は90度どころかオーバーハングする絶壁なので、今回は20mロープでダブルで身体を確保しながら撮影した。(ヒヤヒヤ^^) この断崖のてっぺんに五葉松が生えていて撮影にはジャマなのだがどうにもならない。 滝の二段目の河原に、 滝を見に来た人たちが蟻のように見えてます。よく見ると、きのこ鍋でも食ってるみたいですね。 断崖の上からいくら大声で叫んでも誰も気がつかない(笑)。 この90m落下する滝の真上に立って、下を見下ろす写真を撮るのがこの夏の最大の課題のひとつだったけれど、黄瀬川遡行の際に絶壁から転落寸前のピンチに陥って肩を痛めてしまって断念した。滝上の水量がかなりのものでザイルで確保しないととても近づけない。だからハーネスも用意してザイルで2点確保しながら滝上に立って撮影しようと思っていた。でも肩を痛めてしまったのでひとりではとてもザイルをつたって戻ってくるのは無理だろうと観念したわけです。慚愧! 他にもいっぱいあるんです、今年撮ろうとして撮れなかったものが。 |