
7月の前半、僕はねらいを定めた本線の峡谷に入れないでジリジリしていた。
南八甲田だけに張り付いた厚い雨雲を恨めしく眺めていたことが多かった。2週間ちかく待ち続けてふと、天気を恨んだってしょうがないぞ、現実を受け止めて今できることをやればいいじゃないか、そういう声を聞いた。すごいね、山の神は。愚痴をこぼして他にあたっている自分のことをずばり言い切っている。(もちろん全部自分の声なのはわかっているけれど、そういう声を引き出したのはまぎれもなく南八甲田の山そのものだ。)
で僕は、降りしきる雨や冷たいやませを気にすることもなく、ベースキャンプから行けるところまで行くというピストンをいくつかの沢に入れたのです。これから荒れることが予想される沢に入る人間などいない。でも山の神はやってみろ言った(=2週間ジリジリしてようやくそういう声が聞こえた)。これは幸運というものじゃないですか。そうじゃなければ僕は決してこういう天候で源流には入らなかったし、すごい景色にも出会えなかったのだから。実は7月のベストショットは、本線の峡谷ではなくて、この時に撮れたのです。それは来年のおたのしみに^^;

上写真のメタデータです。
